このページは美術館の魅力を「もっと知りたい!」という皆様のご要望をかなえるため開設しました。
ここでは国立西洋美術館を西美(セイビ)と呼ぶことにします。
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みなさまからの「も〜っと知りたい!」を集めました

昨年6月6日に掲載を始めてから、現在までたくさんのみなさまにこのページをお楽しみいただけたかと思います。
毎回お寄せいただくご意見、ご感想、ご質問に全て目を通してまいりました。そして読者からの声のコーナーで毎回いくつかのご意見やご質問などをピックアップさせていただきましたが、それでも掲載しきれなかったご質問がまだまだあります。
今回は、それらのご質問にできるだけたくさんお答えしたいと思います。


西洋美術館について
Q.Chachaさん:西洋とは、どの地域を指すのでしょうか?
A. 西美が「西洋美術」として扱うものは、西ヨーロッパの美術が中心ですが、時代的によっては現在のロシアや近代以降のものであれば北アメリカ大陸も含めます。東欧やアジアは基本的に入れません。
Q.Shuさん:西洋 となっていますが、日本のものを展示することもあるのですか?
A.当館のコレクションにある藤田嗣治のように、パリで長いこと活躍した日本人の作品を展示することはありますが、いわゆる古い日本の美術や、近代の日本画を展示することはありません。そうした作品は西美のコレクションにはありませんし、国立博物館や近代美術館の担当する分野となりますので、当館では展示しておりません。
Q.らいなすさん:ル・コルビュジエの作品ということですが、美術館の作品だけでなく、みどころなどを教えてもらえたらうれしいです。また、美術館本体の美術としての見学もしてみたいです。今後そういった予定はありますか?
A.第5号「西美のひみつ」で詳しくご紹介しています。
Q.りょうさん:休館日は、中でどのような作業をされているのですか?
A.開館中にはできない大規模な館内の清掃や設備の修理・点検を行っています。また、以前ご紹介したように、作品の点検や埃払い、また、展示替え等も休館日に行っています。

所蔵作品・常設展について
Q.もちこさん:リニューアルして変わったことがあれば教えて下さい。
A.現在行われている新館の改修工事は、空調設備を全面的に更新して、所蔵作品を永く保存するための施設環境を向上させ、大きな災害などの非常時にも対応できるような体制を整えることを目的としています。それと同時に、新館展示室の内装と照明システムも一新され、より明るくシンプルな空間の中で所蔵作品をご覧いただけるようになります。また、工事期間中、本館のみに縮小されていた常設展ですが、新館展示室完成後は、大幅に展示作品が拡充されます。
Q.ひろさん:外のモニュメントには触って大丈夫ですか?
A.ブロンズ彫刻は硬くて強い印象がありますが、実は大変脆弱です。素手で触ると、摩擦により摩耗し、水分と塩分により劣化が進みます。一旦傷ついてしまうと、修復をしても完全に元通りにはなりませんので、彫刻には触れないでください。大切な芸術作品を守るために、ご理解とご協力をお願いいたします。
Q.ぐるるさん:ところで、国立西洋美術館では、なぜロダンの作品が目立つんでしょうね。
A.国立西洋美術館設立の基盤となった松方コレクションの中に多くのロダンの作品があります。松方氏は後にフランスのロダン美術館の館長となるレオンス・ベネディット氏に美術品蒐集のアドヴァイザーを頼んでいました。ロダンの作品を購入した松方氏はロダン美術館設立に多大な貢献をし、また、蒐集したロダン作品及び他の美術品をロダン美術館に保管していました。
戦後、その保管されていた作品群を日本に寄贈返還してもらうために国立西洋美術館は誕生しました。このように、ロダン美術館と松方氏の関係はとても深く、国立西洋美術館誕生にも大きな影響を与えました。
Q.1 K.Mさん:西洋美術館のコレクションはとても良いものが多いですが、所蔵品はもっとたくさんあるんですよね?そのわりには展示替えが少ないような気がします。もっと定期的に色々みせて欲しいのですが…?
Q.2 ケンタンさん:所蔵作品数はいくつになりますか?
Q.3 ねこさん:常設展示も、展示替えがあるのは、どうやって決めているのでしょう?いつごろ何が出るのか、わかるの?
A.当館の所蔵作品数は現在、絵画作品370点あまり、彫刻101点、そして素描や版画類で4000点ほどを数えます。作品の貸出や返却に伴う業務上の小規模な展示替えは随時行なわれますが、大規模な展示替えは1年に一度くらいになっています。大規模な展示替えは、準備に時間がかかるため、修復が終わった作品のお披露目や新規購入した作品の展示、さらには企画展に合わせた内容の展示替えや研究展示などと、様々な目的があり、こうした作業は休館中でなければできないので、長期休館のできる時期に行なわれます。
常設展示のあり方と言うか、理念には最低ふたつの選択肢があります。
ひとつは、いつ来ても「必ずあの作品に会える」、という常設展示。
もうひとつは、定期的に動きのある常設展示。
当館に来てくださるお客さまにも両方の方がいます。
「あれが見たかったのにないじゃないか」と残念がるお客さまがいます。とくに遠方から昔の想い出とともに来てくださるお客さまにはそのような思いがあります。一方で、熱心に足を運んでくださるお客さまには、動きのある常設展示を希望される方が多い傾向にあります。我々はその両方の希望にできるだけ添いたいと考えています。
ただ、所蔵作品としてあるということと、展示できる状態にあるかどうかは別で、状態が悪くて展示できない作品も中にはあります。我々も展示できるものはできるだけ展示できるように努力していますが、貴重な作品を後世まで保存するためにもご理解いただきたいと思います。

企画展について
Q.はなさん:美術品はどれぐらいの期間をかけて運ばれてくるのですか?
A.作品を借りてくる場合は通常、空輸便や国内であれば陸路便等を使います。一度の搬入で、どのくらいの期間がかかるかは所蔵している美術館との距離にもよります。また、色々な館から借りてくる時など、一度に全ての作品を搬入することは無いので、全ての作品が揃うまでに数週間かかります。
Q.らんまるさん:今までの入場者数ベスト5など知りたい。
A.企画展入場者数ベスト5!
1位バーンズ・コレクション展(1994) 1,071,352人 
2位ミロのビーナス特別公開(1964) 831,198人
3位欧州評議会特別展 西洋の美術: その空間表現の流れ(1987) 611,983人
4位オルセー美術館展1999 −19世紀の夢と現実−(1999) 586,273人 
5位ゴヤ展(1971) 574,502 人

教育普及プログラムについて
Q.1 M.Sさん:子どもと一緒に楽しめる企画はないですか
Q.2 masakoさん:学生さんに対する活動は、美術に興味を持ってもらうために、とても大切なことだと思います。また、赤ちゃんがいるので、美術館に行けない!という方は結構多いのです。若いお母さんを応援するために、親子いっしょに本物の美術を見て楽しむことが出来るイベントは無いものでしょうか?
A. 当館では乳幼児と一緒のプログラムは実施していません。ただし、「もっと知りたい!国立西洋美術館」で紹介したようなファミリープログラムやFun with Collection、ファン・デーやクリスマスイベントなど親子で参加できるプログラムは実施しているので、詳しくは当館のホームページをご覧ください。

その他
Q.ぷちさん:展示室のスタッフが学芸員でないとのことですが、館内の美術品に関しての細かい質問は誰にすればいいのですか?
A.当館宛にメールやお電話でお問い合せください。
取材:美術館.com水井美佳 
 
 
   
 

オーギュスト・ロダン
《考える人》
(拡大作)
ブロンズ
186cm×102cm×144cm
松方コレクション

誰もが知っているといっても過言ではないロダン作《考える人》。
でも前庭に設置されている大きな《考える人》は、元々は同じく西美の前庭にある《地獄の門》の一部分を拡大したものだと言うことは余り知られていないようです。

資料によりますと1902年から1903年にかけて、ロダンの良き協力者であったアンリ・ルボッセの手によって1881-82年の原型に基づいて拡大され、鋳造所で鋳造されたものです。

小さいサイズの《考える人》は、《地獄の門》の正面上のほうの中心に座っているのが見えますので、西美に行かれたら是非探してみて下さいね。

ちなみに、《考える人》には3種類のサイズが有るそうです。約40cm、約70cm、約180cmだそうです。素材は石膏とブロンズがあります。ロダンが最初に制作したオリジナルサイズは70cmの像だそうです。
西美は約70cmと約180cmのサイズの《考える人》を所蔵しています。

《考える人》の像が世界にどれくらいの数あるのかは、わかっていないそうですが、《地獄の門》はブロンズ7体と石膏が3体とわかっているそうです。そのうちの貴重なひとつが、西美の前庭にあるのです。(上画像オーギュスト・ロダン《地獄の門》松方コレクション)

学芸員さんに聞いてみました「《考える人》は何を考えている?」
回答は・・・“この作品は、「特定のなにかを考えている人」という存在を越えて、「あらゆる意味において思索をする人」ととらえるべきでしょう。”とのこと。
「あらゆる意味において思索する人」・・・なんだかわかるような、わからないような複雑な回答です。
まるで《考える人》のあの頭の中には小宇宙が広がっていそうな感じです。

そして、“ただし、この《考える人》が《地獄の門》の中心に位置し、この《地獄の門》はダンテの『神曲』「地獄篇」をテーマにして全体が構成されていますので、その場合、《考える人》は地獄を前に「思索する人」「詩人」あるいは「ダンテ自身」さらには「ロダン自身」というさまざまな解釈がなされます。”というお答えもいただきました。

そこで、今度は《地獄の門》の前に行って、《考える人》を見上げてみました。
なるほど同じ《考える人》のはずなのに、門の中と単独でいるときとでは、なんだか印象が変わって見えてきます。

ついつい気になる、あの姿。あなたにとって《考える人》は、どんなことを考えていると思いますか?

 
     
 
「もっと知りたい!国立西洋美術館」は、今号を持ちまして終了となります。私たちにとって、たくさんのお客様からのメッセージは大切な糧となりました。本当に有難うございました。
国立の美術館と美術館.comのような小さなサイトとで「もっと知りたい!国立西洋美術館」というページを作り上げ、お客様と西美との架け橋になるよう目指してまいりました。皆様お楽しみいただけましたでしょうか?これで「もっと知りたい!国立西洋美術館」は終わりとなりますが、どうぞこれからも美術を楽しむ心をお持ちになって、展覧会へ出かけて見ましょう。そして素敵な作品たちとの出会いが、たくさんありますように!!美術がきっと心を豊かに潤してくれることでしょう。
そのきっかけに、この「もっと知りたい!国立西洋美術館」がお役に立てたら幸いです。
本当にご愛読有難うございました!(^-^)
 
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