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 東京上野。駅を降りてすぐに右手に見えてくるのが国立西洋美術館です。来年、50周年を迎える長い歴史のある美術館です。そこで、皆様の国立西洋美術館の魅力を「もっと知りたい!」というご要望をかなえる場としてこのページを開設しました。
これから、月1回のペースで「美術館.com」が取材した内容や、皆様からいただいた質問にお答えする記事を掲載していく予定です。どうぞ楽しみにしていてください。
それでは、これから長くお付き合いする国立西洋美術館を今後このページでは、親しみを込めて「西美」(セイビ)という略称で呼ぶことにしたいと思います。

 今号では、「西美」のなりたちについて簡単にお話ししましょう。


西洋美術に特化した、しかも国立の美術館。何故この美術館は西洋美術に限定されているのでしょうか?

 いったいどんな成り立ちがあるのでしょう?それを語るには、同館の設立に欠かせないコレクションとその収集を行ったある人物の事を知る必要があるでしょう。
 その人物とは松方幸次郎氏。
株式会社川崎造船所[現川崎重工業(株)]の初代社長であった松方氏は、20世紀初頭、パリを中心にヨーロッパ各地で数千点に及ぶ西洋の絵画、彫刻、工芸品の作品を私財を投じて収集した人です。
当時日本で美術を学ぶ人々は貧しい中を苦労してパリへ行き、やっとの思いで本物の西洋の美術に触れていたというのが現状でした。松方氏は、そんな日本の事情を理解し、それならば自分が本物の西洋の作品を沢山日本へ持ち帰り皆にみせようとしたのです。
松方氏の思い切りの良い購入の様子は、ある画商を訪れたとき、壁にずらりと並んだ作品をステッキで端から端まで指し示し「これを全部くれ」と言ったという逸話も残っているほどで、その豪快な買いっぷりが当時のパリで有名になったそうです。
残念ながら諸般の事情により実現はしませんでしたが、持ち帰った作品を展示するための美術館(共楽美術館)を建てる構想も持っていました。
そんな熱い思いで西洋の美術作品を収集した松方氏のコレクションは、先に日本へ送られた作品(これは恐慌のため会社の経営状況が悪化し、結局売りたてられ散逸してしまいました。)の他に、イギリスとパリに分けられて保管され、日本へ渡る日を待つ状態にありましたが、第2次世界大戦のさなか、戦火でイギリスの保管倉庫が焼けてしまったため数百点が消失し、残ったパリの作品400点も敵国の資産としてフランス政府に差し押さえられてしまいました。
戦後、 紆余曲折を経たものの、フランスに残ったコレクションは、いよいよ日本へ返還されることとなります。フランス政府は松方氏個人のコレクションとしてその価値を認め、返還に応じられないとした30点を除き370点を日本へ「”寄贈”返還」することに合意したのです。
この寄贈返還に際して、いくつか条件を出しましたが、その中のひとつが「松方コレクションや他のフランス文化財を特別の美術館に保管、展覧することを確約すること」というものでした。これが国立の西洋美術を扱う初の美術館誕生へと結びついたのです。

 


折角松方コレクションの返還が決まったとはいえ、まだ戦後の日本は貧しく、国家予算の中から美術館建設の費用を捻出するのもたやすいものではありませんでした。
  しかし、ここで立ち上がったのが日本の民間の実業界、文化界のそうそうたるメンバーでした。1954年の春には「松方氏旧蔵コレクション国立美術館建設連盟」を発足、美術館の建設促進のための民間の募金活動をし、1億円という目標を立て活動を始めました。
美術家連盟所属の画家に絵を描いてもらい大口寄付をしてくれた企業へお礼として渡すなどのアイデアで協力をしてもらいます。日本画壇の作家からも多くの絵が集まり、国だけでなく民間の大きな力にも後押しされ、1959年6月10日、「西美」は無事上野の地へ誕生したのでした。

  開館して1ヶ月間で9万人の入場者があったといいます。半年ほどは連日の超満員で日曜返上でスタッフ総出で対応したそうです。当時の人々は松方氏の想いを”国立西洋美術館”という形で受け止め、その素晴らしいコレクションを堪能したのです。
 今私たちは当時の状況と比較にならぬほど気軽に西洋美術に接する機会に恵まれています。現在、「西美」では、企画展示室も整備され、私たちは「西美」の展覧会と聞くと、どちらかと言えば企画展示を思い浮かべるかもしれません。しかし、本来の「西美」の姿は、常設展示の中にその魅力を湛えているのです。様々な難関を乗り越えながら今、この美術館に展示されている作品たちと、その作品を収蔵する美術館そのもの、そして作品を守るスタッフの方々のストーリーをこのページでお伝えしていきたいと思います。
※参考文献:「甦る松方コレクション 幻の美術館」石田修大:著(丸善ライブラリー刊)
取材:美術館.com水井美佳 
 

「西美」では、美術を楽しむためのいろいろなプログラムが行われているんだよ。こういう企画って一体どんな風に作られているんだろう?って思ったことは無い?そこで今回は、今、「西美」で人気の、家族で参加する「どようびじゅつ」について担当の教育普及室スタッフさんへインタビューしてきたよ!

どようびじゅつ、って何?
「どようびじゅつ」は、「西美」の”常設展示作品”を楽しむためのものなんだ。美術館が初めてという人でも楽しめる色々な切り口が用意されているんだよ。
その企画をたてているのは教育普及室のスタッフさんとボランティアスタッフさん。約半年前から準備を始めるんだって!1回1時間半のプログラムに、ずいぶん時間をかけてじっくりと企画を練っているんだね!

内容は
どうやって決めるの?

最初はみんなで自由にアイデアを出し合うところから始めて、その中からどんどん絞り込んでいくそうだよ。内容は、必ず作品を見ることと、手や体を動かす創作やゲームがセットになっているんだ。例えば、こんなもの作っちゃうプログラムもあったんだって。楽しそうだね

本番前に・・・
大体の案が決まったところで2回トライアル(実際にプログラムを試してみること)っていうのをするそうだよ。そして直した方がいいところを意見を出し合って修正していくんだ。使用する道具なども手作りなんだって!プログラムが始まる約2週間前には準備を完了させなくてはならないそうだよ。担当のボランティアの皆さんも目の回るような忙しさだよね

スタッフの願い
美術って「どうやって鑑賞したらいいかわからない」って
思われているけど、「どようびじゅつ」に参加することで自然に作品を楽しむことができるようになってくれれば最高ですってスタッフの皆さんが言ってました。だから、参加者から「楽しかった」とか「また来たい」という感想を聞くと嬉しいって。なが〜い目で、美術館を気軽に利用してくれる、美術が好きな人になってくれるのを願っているんだね。

さぁ参加しよう!
「どようびじゅつ」は人気があるので、すぐに定員(15名)いっぱいになってしまうんだよ。以前参加して楽しかったのでまた来ました!っていうリピーターさんも多いんだって。
プログラムがある第2、第4土曜日は無料観覧日だし、午前と午後の1時間半という家族で参加しやすい時間帯も人気のヒミツなんだ。
皆さんも機会があったらぜひ、「ファミリープログラム、どようびじゅつ」に参加してみてね!

国立西洋美術館
ファミリープログラム どようびじゅつの
ページはこちら

 
「ミニミュージアム」を
ご存知ですか?


 常設展示室の中で配布されている「ミニミュージアム」。
所蔵作品のプリントされた単なる小冊子・・・ではありません。裏の作り方を見ながらハサミで切り込みを入れ、折り目でたたむと、立体になってちょっとしたスペースに置いておける飾りになるのです。
第2弾も近日登場しますので常設展へいらした時には是非お持ち帰り下さいね!
◆「西美」(セイビ)のひみつ(1)◆
このコーナーでは、「西美」の、知っているようで知らなかったこんなコトをお知らせします!
え?常設展では撮影が出来る!?  
美術館.comのユーザーアンケートでも「展覧会に行ったら、作品を撮影したい!」という要望は少なくありません。でも「美術館=撮影禁止」だという場合が多いですよね。
実は西美は常設展に限り、一部の作品を除きますが、撮影ができるのです。気に入った作品を記念にパチリ!も可能なのです。
但し、作品保護のためフラッシュの使用と三脚の使用は禁止ですのでご注意下さいね!

また、撮影可能な場所であっても、他の鑑賞者の方のお邪魔にならない気遣いは忘れないように心がけたいものですね。
携帯電話のカメラも便利ではありますが、シャッター音やフラッシュの切り忘れなど、気をつけなければならないこともありますので避けたほうがよいでしょう。
尚、屋外のロダンの彫刻(地獄の門や考える人など)の前では記念撮影はOKです♪マナーを守って楽しい鑑賞をしたいものですね!
 
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