このページは美術館の魅力を「もっと知りたい!」という皆様のご要望をかなえるため開設しました。
ここでは国立西洋美術館を西美(セイビ)と呼ぶことにします。
50周年サイト「掲載情報」ページへ戻る
 
 「FUN DAY 2008 レポート」

去る9月20日(土)・21日(日)、は今回が開催2回目となる西美の『FUN DAY』でした。

私たちレポーター(水井&勝見)が取材に伺った20日は、運良く台風のコースが関東地方から離れ、気持ちのよい秋晴れの青空に恵まれました。


今日はちょっと違う雰囲気の西美。
「中ではどんなことをしているの?」
カラフルな「FUN DAY 2008」の看板に眼がとまります。


前庭にはパラソルとかわいらしくおめかしした
テーブルが何組かしつらえてありました。
「西美へようこそ!」の気持ちが伝わってきます。

 

 

それでは、プログラムの内容をご紹介いたしましょう。

 

■建築ツアー

「 建築ツアー」は、 ボランティアガイドから西美の本館の建物について、その設計者であるル・コルビュジエが凝らした工夫などの話が聞けます。 さらに、普段は立ち入り禁止の場所へも特別に入ることが出来るという、とってもお得なツアーでした。(約40分)

ツアーではル・コルビュジエが目指した、19世紀から現代までの美術を展示する美術館の構想と、松方コレクションのための美術館を建てるという日本側の基本理念とが、時としてぶつかり合い、何度も折衝を重ねながら設計が進められていったことが分かりました。

また、一番驚いたのは、ル・コルビュジエは建設前に敷地の下見に来ましたが、施工は前川國男・板倉準三・吉阪隆正という3人の日本人の弟子がフランスにいるル・コルビュジエと連絡を取り合いながら行ったこと。
なんとル・コルビュジエは完成した本館を見ていないということで、こんなに素晴らしい出来上がりが見られなかったとは、勿体無い気がしました。

また、設計から施工の過程で活躍した弟子の前川國男が設計した「東京文化会館」(西美の向かい側に建っています)に“師匠への敬意”の表れとして共通する意匠がみられるなど、建築ならではのスケールの大きな作品の楽しみ方を教えていただきました。

ツアーの内容は西美のヒミツのコーナーでもご紹介します。

■ボランティア紹介コーナー

「わあ、これは何?」
いろいろな工夫がぎゅっと詰まっている
ツールにお客様もびっくり

ここでは「びじゅつーる」(※1)を実際に触ることができたり、ボランティア・スタッフとお話が出来ます。
ちょうど訪れていた小さなお子様は、「びじゅつーる」がお気に召した様子で、スタッフの説明に目を輝かせ、楽しそうに手にとっていました。

※1「びじゅつーる」は西美の常設展の絵や彫刻を、いろいろな視点から大人と子どもが一緒に楽しむために作られたツール(道具)。2009年5月(予定)まで「びじゅつーる」の貸し出しはお休みしています。


活動を紹介するパネル
■常設展クイズ

常設展会場では「常設展クイズ」が行われていました。
受付で問題リーフレット(下写真)を1つもらって、お題の作品を探し出し、作品をみて答えを考えるというもの。(たとえば、「絵に描かれている羽根の生えたこどもの人数」や、「絵には描かれていない昆虫」を尋ねるものなど)

どの問題も実際に作品をよ〜く見ないと答えがわからない!(正解は裏面にありますが)

コレクション作品とじっくり対峙できる楽しい企画でした。


問題は9種類。
お好きな物を一つ選んでくださいね!

■パズル ■前庭コンサート

西美の美術作品を拡大したパズル。(4種)
3分以内に完成させるとプレゼントがいただけるとあって、挑戦するお客様は皆、気合が入ってたようです。

ロダン作“地獄の門”の前では「前庭コンサート」が。
開始時刻前には客席がいっぱいに。
楽しい吹奏楽の音色に、美術館の外を通る方も思わず足を止めていました。


「こっち・・・かな?う〜ん、色合いが微妙ね…」
ついつい夢中になっちゃいますね、これは。
勝見も水井も真剣勝負で賞品ゲットしました!

 

他にも、常設展の中から1点を選んでボランティア・スタッフがトークをする「ギャラリートーク」や美術館や彫刻作品を背景に記念撮影をしてくれる「フォトサービス」などもありました。

この日の午後にはお天気はすっかり回復し、それにつれて来館者がどんどん増えていきました。
予想では、小さなお子様を連れた親子での参加が多いのかな?と思っていたのですが、親子連れはもちろん、カップルや、ご夫婦、友達同士・・・また、観光で上野公園へ来られたのか、外国人のお客様の姿もちらほらと見えました。

最終的には、2日間で2,535人が来館されたということです。

今年のFUNDAYは終了してしまいましたが、来年の開催が今から楽しみです。皆さんも是非来年はご参加してみませんか?

 

取材:美術館.com水井美佳・勝見美樹 
 
 
   
 


額に記された銘文

ダンテ・ガブリエル・ロセッティ
《愛の杯》

1867年 油彩・板
66cm×47.5cm

この作品は、私が初めて西美の常設展へ行った時に、一番心惹かれた作品です。
赤いローブを身にまとい、手にはハートの柄の杯を持つ、女性の美しさもさながら、その背景に描かれたレース編みの繊細さが非常に美しく、感動のあまり、この作品の前からしばらく動けなかったことを思い出します。

この作品の額には銘文があることを知りました。その銘文の内容からは、戦場へ向かった戦士への愛を表していることがわかるのだそうです。そこで調べてみましたところ、銘文にはこう書かれているそうです。(写真下)

「甘き夜、楽しき昼/美しき愛の騎士へ」

なんてロマンチックな作品でしょうか。また絵だけでなく、額もこの作品に大きな役割を果たしているという点で面白いなと思うのです。

さて、この女性の持つ杯の柄の「ハート」には“愛情”を表現する意味があるそうです。この杯はラヴィング・カップといって親しい者、特に恋人同士でくみ交わす杯なのだそうです。

また学芸員さんにお聞きしたところ、この絵の中には、他のものを象徴する図像が描かれているそうです。

それは、女性の後ろに描かれている蔦。蔦は“忠誠”のほか、“永遠”の象徴なのだそうです。そして蔦の葉もまたハートの形。杯のハートといい、ハート型の蔦の葉といい、この作品を《愛の杯》とした作者ロセッティの制作意図が窺えますね。

この女性の遠くを見つめるような眼差しの先には、愛する恋人の姿が映っているのかもしれない・・・私にはそんな風に思える作品なのでした。

 
     
 
◆「西美」(セイビ)のひみつ(5)◆
このコーナーでは、「西美」の、
知っているようで知らなかったこんなコトをお知らせします!
建築ツアーで発見!ル・コルビュジエ・デザイン、ここにあり!!

今回のFUN DAY 2008の建築ツアーでは、西美の建物のヒミツもたくさん教えていただきました。
そのなかからいくつかご紹介いたしましょう!
下の見取り図の中の人をクリックしてみてください。別の窓が開きます。

 

◆お客様からの声◆

・S.Aさん:頼もしいボランティアさんたちですね!自分も中学の頃は美術部にいたので、こんな楽しそうな美術館見学は羨ましいです。
モネのナポレオンのエピソード、笑ってしまいました。偉大な画家を身近に感じてしまうカワイイエピソードですね♪
次回の建築スポットも楽しみです!

・でこちゃんさん:ボランティアスタッフのご活躍の様子を初めて知り、感心しました。美術館で説明してくださっているのは、全員、職員の学芸員かと思っていました。やりがいのあるお仕事なんでしょうね。また、説明を聞ける中学生がうらやましく思われました。一般の大人が聞いても十分おもしろい、興味深い説明だと思いました。
また、ファンデーについて知ることができてよかったです。

・okiさん: コインロッカーのかぎをなくしても開けてくれるとのことですが、費用は取られないのでしょうか?
美術館によっては鍵の紛失費としていくら申し受けますと書いてあるところもありますが。
→費用はいただいておりません。

 
ページの先頭へ戻る
 
このサイトに掲載している記事・写真・イラスト等のすべての コンテンツの無断複写 ・転載・転用を禁じます。
Copyright ©独立行政法人国立美術館国立西洋美術館
登れない階段の謎! この窓みたいなのは何?? 木目が美しい〜〜♪ トイレもル・コルビュジエデザイン! 屋上ってどんな風になってるの? え?実は窓じゃなかった?! 床のパターンも美しい♪ ピロティ今昔 免震構造も見られるんです! ミュージアムショップの机も実は・・・ 19世紀ホールの秘密