このページは美術館の魅力を「もっと知りたい!」という皆様のご要望をかなえるため開設しました。
ここでは国立西洋美術館を西美(セイビ)と呼ぶことにします。
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 ガーデン・イルミネーション 輝きの舞台裏!

西美がガーデン・イルミネーションをはじめたのは今から5年前。企画展も終わりちょっぴり寂しくなる季節に、お客様に少しでも美術館を楽しんでいただけるようにと始めたのだそうです。
11月25日は火曜日で休館日でした。この日、一日かけて西美ではガーデン・イルミネーションの飾り付けが行われました。大小のツリーも登場するということで、めったに見られない準備作業の現場を取材してまいりました。

 

造園業者の職人さんたちは朝の9時前から西美に集合。
前庭を囲む木々や彫刻周りの植え込み、そしてツリーなど各自担当箇所に電飾をひたすら飾り付けていきます。狭い庭と違って広い西美の前庭で使う電飾はなんと4万球!
外側の高い植木たちの装飾にはなんとカーゴも登場!上のほうからバランスを見つつ順に飾り付けていくのですね。

植え込みの中の職人さん
外側の植え込みだけじゃなくて、中に入り込んでの作業も・・・大変!

ツリーの飾り付け担当の職人さん
ツリーの天辺にも高い脚立を使って登り、飾りを取り付けます。
プロフェッショナルなので楽々作業を進めていきますが、見ている私のほうがハラハラ・ドキドキ!でもきれいなポインセチアが見事に取り付けられました。

立ち木担当の職人さん
枯れ木に花を咲かせましょう〜♪と言いたくなるくらい丁寧に木の枝一本一本に電飾を取り付けていきます。

 

見ていて一際面白かったのが大きいツリーの飾り付けです。最初はもみの木の緑だけだったツリーが見る見るうちにシルバーの飾りで美しく変身していきます。時間を忘れて職人さんたちの作業を見守ってしまいました。

飾り付けられたオーナメントがこちら。

1: シンプルなシルバーのボール。このほかに大きなサイズも有ります。
2: 職人さんに「たまねぎ」の愛称をもらったかわいい飾り。ブルーとシルバーが大人っぽい。
3: シルバーのポインセチア。シックな感じです。

 


ほぼ付け終わった状態です。
鈴なりの飾りがとってもきれい。


点灯した状態です。
雰囲気が変わりますね。

 

日が落ちて暗くなってきたところで、ほぼ作業の終わった箇所の電飾を灯した時には、いつもの西美の前庭が、なんともロマンチックな雰囲気に変身!! 去年まではホワイト一色だけのイルミネーションでしたが、今年はグリーンを加えることにしたそうです。華やかさが増しますね♪朝早くから夕方遅くまで、ひたすら美しく飾るために働いたスタッフからも「おぉ!」と声が上がります。なんとも感動的なひと時でした。

イルミネーションの点灯は11月28日〜2009年1月4日まで、夕方の4時半から夜の8時まで行われます。(前庭の開放は夜7時まで。金曜日は8時まで。)展覧会の帰り道だけでなく、デートスポットとしても素敵なシーンを提供してくれることでしょう。

※開館時間は次のようになっておりますのでご留意下さい。
9:30〜17:30(12月9日(火)以降は17:00まで)
金曜日は20:00まで。(ただし、2009年1月2日(金)は17:00まで)

 

楽しみましょう♪
飾りの絵付け。
ハートを抱いている天使の絵を描いてみました。
(^-^)
 

 

これは、シルバーのボールに自由に絵を描いて小さな方のツリーに飾ることが出来るというイベント「ツリーデコレーション」です。実施日が決まっており、各日先着30名様ですので、その他のクリスマスイベント情報とあわせて詳細はこちらでチェック!
→(西美HP内イベントページ)
http://www.nmwa.go.jp/jp/events/christmas-program.html
自分の描いた飾りが西美のツリーに飾ってもらえるなんて、いい記念になりますよね♪
どんな柄にするか考えるのも楽しいひと時でした。

もし、西美へお出かけの際、私の描いたシルバーボールを小さなツリーで見かけたら教えてくださいね(^-^)


こちらがデコレーション用の
小さいツリーです♪

ロマンチックな西美の姿をご覧になる時に、その陰に、地道にイルミネーションの設置をしてくださったプロフェッショナルな職人さんたちの努力があったことも、ぜひ思い出してみてくださいね。

取材:美術館.com水井美佳 撮影協力:国立西洋美術館 桐生智恵子 
 
 
   
 

ギュスターヴ・クールベ
《罠にかかった狐》

1860年 油彩・カンヴァス
81.5cm×100.5cm
松方コレクション
以前息子を連れて西美へ作品を観にいった時に、息子が一番のお気に入りにしたのがこの作品です。
白い雪の積もる山の中でしょうか、狐がこちらを振り返った今にも動き出しそうな一瞬を捉えた作品です。
「狐が本物そっくりで勢いのある姿がとても印象に残った」と言うのが、その時の息子の感想でした。
がっちりと無情にも前足を挟んだ罠と、それでも歯をむき出し、鋭く振り向く野生の狐の一瞬の姿。狐の目線の先には何があるのでしょうか?
狩猟好きだったというクールベは果たしてこの作品を、本物の狐を前に描いたのでしょうか?
この作品は西美で以前行われたFun with Collection「いろいろメガネPart1」で題名を付けてみるという企画で登場したこともあります。皆さんどんな題名を候補にあげたのかというと・・・。「罠」「叫び」のように画面の出来事を描写しているものや、きつねの気持ちになって一言「痛い!」「やられた!」「不覚」「助けて!」「おかあさ〜ん」、あるいは見ている側の諦観が入ったような「運命」「絶望」などがあったそうです。
この狐には家族があるのでしょうか?それとも独り者?今、狐の頭によぎっているものは一体何なのでしょう。厳しい自然の中でこれまで生き抜いてきた時間をこの表情が語っているように思えてなりません。「生きる」ことの意味を考えさせられる一枚の絵です。
 
     
 
◆「西美」(セイビ)のひみつ(7)◆
このコーナーでは、「西美」の、
知っているようで知らなかったこんなコトをお知らせします!
「作品展示の秘密を追え!」

展示室に整然と並んでいる絵画作品。でも考えてみると、この展示の順番には何か意味があるのでしょうか?
西美の絵画彫刻第1室室長(常設展示の責任者)の高梨さんにお話を伺いました。
(以降回答は高梨さん)

 

西美の常設展示室はどのような順番で作品が並べられてるのでしょうか?
現在は、流派別年代順になっています。ただ、年代順というだけでなく、壁全体を見た時に「いかに作品を見せるか」ということを念頭において作品を並べます。流派でわける方法、時代順に区分していく方法、色々ありますが、基本的には作品の掛かっている壁をお客様が見た時に心地良く見ていただけるように工夫しています。


天井の高さの低い壁には小さい作品を掛けています
心地良く見ていただく工夫の具体的な例を教えてください。
作品の色の流れですとか、大きさ、描かれている人物の顔の向き、そして勿論作品の制作年代も考察検討します。
顔の向きまで!私たち観覧者は何気なく見ていますが、色々と考えられて展示されていたんですね!
それにしてもたくさんの作品がありますが、何処にどの作品を並べようと決めるのは大変な作業ではありませんか?
大変ではありますが、展示室内の壁の広さや、作品の大きさは頭に入っているので、手作業で図面を引いて、まず大きいものはここで・・・というように決めていきます。
作品や壁の広さまで頭に入っているなんて流石ですね。手作業で図面を引かれているんですか?
こういってはなんですが、地道な作業ですね。

私たちの仕事は地味ですよ〜(笑)。机に座って研究論文を書いているだけだと思われがちですが、実際は殆ど座っている暇が無いくらいなんです。スタッフたったの4名ですから。(笑) 備品の整備から作品の状態の管理まで色々仕事があるんです。しかも警報がなったらすぐにすっ飛んでいけるようにしているんですよ。

「バックヤードの仕事は地道な作業。でもお客様と作品のためには絶対に必要な作業ですから頑張ってます!」と高梨さん

高梨さんがやってみたいと思う展示の仕方はありますか?
有りますよ。どの作品とどの作品を並べて展示したら面白いだろうなとか、プランは沢山有るんです。(^-^)
でもこの絵を出してみたいと思っても、お客様の人気の高い作品のことを考えて出すと、全て自由にやりきれない部分はありますね。

新館のリニューアルオープンに向けて何か情報はありますか?
新館リニューアルで全部で2百点程度の作品が掛けられる予定です。各作品のキャプションには海外からのお客様も多いので、英語を併記します。
またオールドマスター(古い時代の祭壇画など)を今は壁にかけて展示しているのですが、昔使われていたときと同じように台の上に飾るなど、少しでも作品の元の飾られ方に合った、“オールドマスターならではの展示”をしていきたいです。歴史のコンセプトを上手く使った展示で古い絵はどんな風に見られていたのか、位置なども水平方向だけではなく垂直方向も考えた新しい展示方法をしてみたいですね。私のモットーは「やってみないと賛も否もわからない。とにかくやってみよう!」ですから(笑)
雰囲気が出てきっと素敵な展示になるでしょうね!


天井の高い壁は大きな作品を掛けています。柱が室内にあるので、作品に掛からないように気をつけています。

最後にお客様にお願いしたいことはありますか?
日本はまだまだ美術品に対する教育が不足していると思うんです。私たちはお客様に作品を「見やすく、わかりやすく、自然に流れに沿って見えてくるような展示」を心がけています。お客様にも楽しくご満足して見られるようになって欲しいと思います。それにはお客様の方もマナーを守っていただければと思います。展示案内の紙なども丸めて絵を指し示しているうちに絵に当たってしまったりする事もあります。どうか作品を見る時には充分お気をつけて、心地良く作品をお楽しみ下さい。(^-^)

 

◆お客様からの声◆

・カフカさん:修復作業って、想像してたよりはるかに地道でかつ地味な作業なんですね。しかも、たしかな知識と技術を持っていないと歴史的な作品を台無しにしてしまう。とても大変な作業だなとおもいました。
でも私たちがそういったすばらしい作品にめぐり会えることができるのは、影でそういった人たちの地道な努力があるからなんですね。ある意味、修復も創作作業なんですね

・コロンさん:保存修復というのは地道な作業だとおもいました。
細かい作業が多く、とても時間がかかるし、根気と忍耐、それと美術に対する深い愛情がないとできないとおもいました。
作者みたいに賞賛を与えられるわけでもなく、ほんとうに裏方なんですね。
でも、こういう作業があるからこそ、後世の人々にすばらしい作品が楽しめるんだとおもいました。
今後の美術品の閲覧でも頭の片隅においておこうかと思います。

 
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