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眠る二人の子供

ペーテル・パウル・ルーベンス
1577年 - 1640年
眠る二人の子供
1612-13年頃
油彩/板 50.5 x 65.5 cm
P.1972-0001

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あどけない寝顔を見せるこの子供たちは、画家の兄の子、クララとフィリップと考えられる。画家が非常に仲よくしていた兄フィリップが1611年に歿し、残された二人の子供(1610年および11年の生まれ)にルーベンスはことのほか関心を寄せてこの習作を描いたのであろう。二人の子供の年格好からすれば、1612/13年頃の制作となる。これら二人の子供の顔はそれぞれ別々にミュンへンの《花環の聖母》やルーヴルの《聖母と天使》など、大型油彩画にも用いられている。
写生に基づく描写の直接性と新鮮さに溢れたこの作品は習作であるだけに、画家の闊達な筆の運びや、特に二人の子供の頬に見られる豊かな肉付けなどに直に接することができる。透明色と不透明色との巧みな使い分け、明暗の色調の差、絵具の厚みの差などによって対象を見事に描出するルーベンスの生彩ある写実法がよく発揮された作例である。なお、X線写真撮影の結果、左側の子供は、初め目覚めた状態で前方に顔を向けていたことが分かった。

(出典: 国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006. cat. no. 26)

写真:ペーテル・パウル・ルーベンス 眠る二人の子供