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作品紹介

14世紀〜16世紀
(後期ゴシック美術、ルネサンス美術、マニエリスム美術)

写真:ヨアヒム・ブーケラール 十字架を運ぶキリスト)

  • ヨアヒム・ブーケラール
  • 1534年頃1574年頃
  • 十字架を運ぶキリスト
  • 1562年
  • 油彩/板 96.5 x 79 cm
  • 右下に署名(モノグラム)、年記: JB 1562
  • P.1999-0001
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16世紀フランドルの画家ブーケラールの、最初期の作品である。画面左の奥にエルサレム市、右の奥にはゴルゴタの丘の磔刑場が配されている。中央の前景に表わされたキリストは、ゴルゴタへの道行きの途上、十字架の重みによって跪き、棒を振り上げあるいは腰縄を引く兵士たちによって前進を促されている。キリストを助けて十字架を担おうとしているのはキレネのシモンで、祭司長、パリサイ人、ローマ人の指揮官が前後を騎行している。前景の右端には、くずおれた聖母マリアを助け起そうとする女たちと、福音書記者ヨハネの姿が描かれている。
このように、画面両端の遠景にエルサレムの街とゴルゴタの丘を描き、前景中央の岩山と小径によって整えられた舞台にキリストを配した構図の「十字架を運ぶキリスト」図は、15世紀以来、ネーデルラントやドイツでしばしば描かれている。ブーケラールはこうした構図を踏襲しつつ、それを15世紀のネーデルラント絵画には見ることのできなかったスケッチ風の描写によって仕上げることで、画面に生動感を与えた。こうした粗い筆致の作品は個人向けの小品にしばしば見られ、多数の需要に応じる手段とも考えられる。しかし、キリストやマリアを中心とする主要な群像の丁寧な仕上げと周囲のスケッチ風の描写が意図的に対照されていることからすれば、本作品はやはり、16世紀に生まれた新たな絵画技法の試みとして評価することができるだろう。

(出典: 国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006. cat. no. 24)

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