実際にはどんなことをするの?
→実際に修復を始める前にまず、作品の状態をみたり(赤外線カメラなどを使うことも)、オリジナルがどうなっていたのかを調べます。それから、状態に応じた修復の手順を検討し、作業を始めます。修復が最小限で済むように作業の間でも段階ごとにさらにその方法などを何度も検討します。
作業としては汚れを取るのが基本です。額の裏側を開けてみたら、チリ、埃、カビのほかに虫や古釘まで入っていることもあるので、そういったものを丁寧に取り除いてあげなければいけません。画面のニスを洗いとったりすることもあります。
穴が開いていたりした場合は、詰め物をして、その上に水彩で失われた部分を補うこともあります。油絵の作品だからといって、油絵具だけで直すわけではないのです。昔の絵画作品に使われた絵具と同じものを揃えて直すというのは不可能ですし、オリジナルを守るためわざと別の方法で修復することもあるんですよ。どこを修復したか後世の人にわかるようにしながら、全体を自然に見せなければいけない。そこが修復の醍醐味でもあり、感性が問われるところなのです。
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