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ばら

フィンセント・ファン・ゴッホ
1853年 - 1890年
ばら
1889年
油彩/カンヴァス 33 x 41.3 cm
P.1959-0193

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ゴーガンとの諍(いさか)いをきっかけとした1888年12月の最初の発作から半年、ゴッホはアルルになおも留まっていたが、1889年5月8日にサン=レミの精神療養院に移る。本作品はこれまで、サン=レミに移る以前のアルル時代最後の時期の作品とされてきたが、サン=レミ療養院の庭の隅を描いたものとする修正意見が1985年のゴッホ展(国立西洋美術館)で提出された。当初、病院の医者はゴッホの行動と制作の範囲を病院の庭に限定したため、5月の間はもっぱら庭のモチーフを描いたようだ。「ここに来て以来、荒れた庭――大きな松の木立があって、その下には様々な植物や雑草が手入れされぬままに伸びている――だけで作品のモチーフは充分で、まだ外に出ていない」。「今やっている4点の庭を描いた作品を送れば、僕が毎日のほとんどを庭で過ごしていることが分かって、そう不幸でないと思うだろう」(書簡592、5月22日)。ゴッホの作風は、ゴーガンと離れたことで、彼の影響下で生まれた平面的な様式から、ゴッホ本来の粗い筆致に次第に戻っていく。しかもその後のサン=レミ時代にはっきりと現れてくる「うねるような」筆致を並置する彼独特の技法もすでにここに窺うことができるのである

(出典: 国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006. cat. no. 85)

写真:フィンセント・ファン・ゴッホ ばら