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砂丘と小さな滝のある風景

ヤーコプ・ファン・ロイスダール
1628/29年頃 - 1682年
砂丘と小さな滝のある風景
油彩/板 27.5 x 35.8 cm
右下に署名(モノグラム)、年記: VR / 1646
P.1969-0002

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ヤーコプ・ファン・ロイスダールは17世紀のオランダが生んだ最も優れた風景画家の一人であり、その初期作品においては好んで故郷のハールレム近郊の砂地の森を採り上げた。本作品は小品ながらその一例である。
画面中央手前に砂地の斜面が大きく描かれ、その左下では川が堰き止められて、小さな瀧を形成して流れている。斜面の上が木立に覆われているのに対して、その下方は開けた草地になっていて、羊飼いの見守る中、放し飼いにされた羊の群れが見える。人物や羊が点のように見えることから、逆に風景の広がりの大きさを感じ取ることができよう。
砂地の上の草や画面中央の樹木や水流などに顕著に見られる、光と影の効果の精妙な描出は、画家がいかに正確に自然を観察していたかを雄弁に物語っている。しかし、このような風景は、単に「自然の断片」を写し取ったものではなく、画面全体に対する各部分の役割が充分に計算された自然なのである。
本作品はもとライプツィヒ美術館にあったもので、その作品目録(1924年、No.807)などには、VRのモノグラムと1661年の年記ありと記述されているが、年記は見つからない。この年記によれば、本作品は画家の晩年の作品ということになるが、画題は画家の初期作品に属するものである。構図が比較的単純なこともこの推測を裏付けているように思われる。

(出典: 国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006. cat. no. 37)

写真:ヤーコプ・ファン・ロイスダール 砂丘と小さな滝のある風景