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グイド・カヴァルカンティの亡霊に出会うテオドーレ

ヨーハン・ハインリヒ・フュースリ
1741年 - 1825年
グイド・カヴァルカンティの亡霊に出会うテオドーレ
1783年頃
油彩/カンヴァス 276 x 317 cm
P.1983-0001

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有名な《夢魔》の2年後に描かれた、フュースリの初期の代表作の一つと言ってよい大作である。フュースリの作品の中にはシェイクスピアを初めイギリス文学に題材を取ったものが多いが、この作品は、ボッカチオの『デカメロン』中の「ナスタジョ・デリ・オネスティの物語」を17世紀のイギリスの詩人ドライデンが翻案した詩「テオドーレとホノーリア」を下敷としている。すなわち、ここに描かれているのは、ドライデンの「テオドールとホノーリア」に表わされた一場面――恋するホノーリアから冷淡にあしらわれたラヴェンナの青年テオドーレが、ラヴェンナ郊外の森の中を歩いていると、やはり同じように恋人から冷酷な仕打ちを受けたため自らの命を断ったグイド・カヴァルカンティの亡霊が、裸身で逃げ惑うその恋人に獰猛な犬をけしかけているのに出くわす、という場面である。フュースリはここでは、ドライデンがもとにしたボッカチオによる物語をも踏まえたうえで、ドライデンがとりわけ強調した劇的な状況を、緊密な構成と古代彫刻研究に基づいた堅固な人体表現とによって見事に絵画化している。
この大作は第三代オーフォード伯爵、ジョージ・ウォルポールの注文によって描かれ、ノーフォークにあるその居城ホートン・ホールに飾られた作品で、その後、一族に伝えられ、ごく最近までホートン・ホールに保管されていたものである。

(出典: 国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006. cat. no. 57)

写真:ヨーハン・ハインリヒ・フュースリ グイド・カヴァルカンティの亡霊に出会うテオドーレ