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自画像

マリー=ガブリエル・カペ
1761年-1818年
自画像
1783年頃
油彩/カンヴァス 77.5 x 59.5 cm
P.2001-0002

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18世紀のフランスは、女性たちが社会のさまざまな場所で活躍し始めた、いわば女性の時代であった。
美術においてもそれは例外ではなく、18世紀の末にはエリザベート・ヴィジェ=ルブラン、アデライード・ラビーユ=ギアールという二人の傑出した画家が女性として初めて王立絵画・彫刻アカデミーの会員となったのを皮切りに、女性芸術家が相次いで社会に進出した。
リヨン出身で、パリでラビーユ=ギアールのアトリエで学んだカペは、こうした当時の新進女性作家のひとりで、フランス大革命直後の1791年のサロンでは、そこに出品した21人の女性画家に名を連ねている。
ホルダーにはさんだデッサン用のチョークを片手に画架の前に立つこの自画像には、溌剌とした22歳の若い作者の初々しい面影が見事に捉えられている。胸元の大胆に開いた青いサテンのドレスは当時の流行の衣装で、共地の青いリボンと相まって18世紀の華やぎを伝えている。しかし同時にここには、ロココ風の官能性と共に、新時代を予告するような簡素で直截な表現が現れている。すでにフランス大革命の嵐は目前に迫り、美術の世界でも、偉大な過去の古代文明であるギリシャ・ローマ美術への理想主義的関心や、台頭する新しい市民階層に相応しいレアリスムへの志向が高まっていたのである。画架に載ったカンヴァスの上にはうっすらと下書きが描かれているのが見える。

(出典: 国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006. cat. no. 56)

写真:マリー=ガブリエル・カペ 自画像