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ヴァチカン美術館所蔵 古代ロ-マ彫刻展: 生きた証─古代ローマ人と肖像

  • ヴァチカン美術館所蔵 古代ロ-マ彫刻展: 生きた証─古代ローマ人と肖像
  • 2004(平成16)年3月2日- 2004(平成16)年5月30日
  • 会場:
    国立西洋美術館
    出品点数:
    彫刻48点、工芸37点、計85点
    入場者数:
    130,618 人
    関連書籍:
    展覧会カタログ
    2004年発行、276頁、高さ23cm、図版85点

この展覧会は、ヴァチカン美術館古代美術、考古学部門の全面的協力により実現される、共和政ローマから初期キリスト教時代まで、約600年の間に制作された古代ローマ人の肖像彫刻を中心とした展覧会です。日本人にとって、肖像彫刻はあまり馴染みのないものですが、古代地中海世界以来、ヨーロッパ文化にとって肖像は非常に重要な意味を持ち続けていました。特に、古代ローマ人にとって肖像は、社会的役割や宗教的な役割において特別な意味を持っていました。つまり、肖像は現世的な目的を持つと同時に、来世的な機能ももっていたのです。出品される作品は、みな一様に、ローマ市民が、解放奴隷が、政治家が、皇帝が、そして素朴な初期キリスト教徒たちが、この世界に残した慎ましやかな「生きた証」ばかりです。

第1章「肖像の誕生」では、ヘレニズム彫刻の伝統と、イタリア半島のエトルリア文化の伝統を比較し、共和政ローマ時代の写実的肖像彫刻のルーツとその変遷を見ます。第2章「肖像とアイデンティティ」では、単に人物の容貌を示すだけではなく、生前の職業や業績を同時に表した作品を見てゆきます。生きているときに何をなしたか、という点に大いにこだわりをもつローマ人らしく、素朴な表現の中にも、人物の誇りが垣間見えてきます。第3章「特徴的髪型をした女性の肖像:古代の装い」では、帝政ローマの皇族や貴婦人たちの手の込んだ髪型を見ることができます。また香料を入れるためのガラス容器や鏡、そして美容に気を使う婦人たちの道具類なども展示します。第4章「肖像と永遠」では、人間と神々を対比させようとした作品を見ることができます。神々の永遠性により近づけた、理想化された肖像を見ることができます。第5章「帝国の象徴」では、カエサルに始まり、アウグストゥス、トラヤヌス、カラカラなど、ローマ帝国の頂点に立つ人物たちの姿を概観します。第6章「古代肖像の終焉」では、紀元前3世紀以来脈々と展開してきた古代ローマ肖像の最後の様相を見ます。それらはローマ的現世へのこだわりからキリスト教的来世への希望へと価値観が大きく変わったことを暗示しています。古代宗教における人間の神格化という概念が完全に払拭され、素朴な心の姿がそのまま表されています。まさに伝統的ローマ世界を支えた肖像の歴史も終わりを迎えることになるのです。

こうして様々な人の姿を見てくると、最後に見えてくるのは、肖像に表された人物の他に、その肖像を作らせた人の思いです。妻に対する夫の思い、子に対する親の心、長年野営を共にした戦友の想い出、優れた人物への敬意、職人の誇り、友情。人を愛する気持ちは昔も今も同じです。石から伝わる人の温もりを感じていただけたら幸いです。

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