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過去の展覧会
[版画素描展示]
ドラクロワ版画展〈ファウスト〉と〈ハムレット〉

[版画素描展示]
ドラクロワ版画展〈ファウスト〉と〈ハムレット〉

画像:ドラクロワ版画展〈ファウスト〉と〈ハムレット〉

会期
2004(平成16)年3月2日- 2004(平成16)年5月30日
会場
国立西洋美術館 版画素描展示室
主催
国立西洋美術館
出品点数
版画31点

1789年、ドイツ人アロイス・ゼネフェルダーによるリトグラフ(石版画)の発明は、版画史上画期的な出来事でした。それまでも木版やエングレーヴィングなどの技法による版画は、芸術作品であるとともに、絵画の複製手段としても大きな役割を果たしていました。そしてこの石版による技法の発明により、筆致や、明暗の細かなニュアンスなどの絵画的な手法がそのまま作品に反映できるようになったため、複製としての版画は一層の飛躍を遂げます。他方、画家たちはこぞって独自の発想による創作リトグラフの制作に向かいました。

ロマン主義を代表する画家のひとり、フランスのウジェーヌ・ドラクロワも、その例外ではありませんでした。ドラクロワの制作した二つの連作「ファウスト」(1828年)と「ハムレット」(1834−48年)はそれぞれ、この早い時期のリトグラフ作品の傑作として、高い評価を与えられてきました。

15世紀に普及した版画による受難伝も、まさにこうした中世末期の図像伝統の中から浮かび上がってきます。とりわけドイツでは、ショーンガウアーやデューラー、クラーナハといった、中世末期からルネサンスにかけて活動した代表的な画家たちが、高度な版画技法を駆使して受難伝に取り組みました。彼らは、新たな版画芸術の可能性を通じて、聖書に記された記述にどのような美的形態を与え、あるいはどのような感覚的内容を盛り込むか、という課題を、作品を通じてそれぞれのかたちで模索していた、ということができるでしょう。

今回西洋美術館では、まとまって目にする機会の少ないこれら二つのリトグラフ連作を同時に展示いたします。ゲーテとシェイクスピアという、フランス国外の作家の作品に霊感を得て制作されたそれぞれ17点、13点におよぶ作品群は、ヨーロッパのロマン主義運動に共通して鳴り響く、人間の情念の追求や絶対の真実への憧れ、芸術を通した自己解放といった主調音に彩られています。