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ナポリの漁師の少年

ジャン=バティスト・カルポー
1827年 - 1875年
ナポリの漁師の少年
1857-58年(原型)
ブロンズ 90 x 46 x 53 cm
台座上面右後方に署名、年記: J. B. CARPEAUX. / 1857. ROME.; 台座上面左後方に鋳造銘: Fdu par Vor THIEBAUT
S.1982-0001

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1856年にローマに留学したカルポーは、翌1857年、パリへ送る留学課題作品としてこの《ナポリの漁師の少年》を制作した。友人に宛てた手紙の中で、カルポーは次のように述べている。「私の作品の主題は、自然から取材したものです。これは、微笑みながら貝の響きに耳を澄ませている11歳の漁師の少年です」。神話や歴史に取材した英雄的主題とは対照的な、このような風俗的な主題の彫刻は、19世紀フランスではカルポーの師であったリュードの作品に最も早い例を見ることができる。それは1831年のサロンに出品された《亀と遊ぶ少年》である。「眼の前にあるがままの姿で人間の肉体を表現しようとした最初の試み」であり、この時から近代彫刻が始まったと評されたリュードの少年像は、カルポーの作品に大きな影響を与えている。しかし、このカルポーの少年像は、緊密な彫塑的フォルムと生き生きとした微妙なモデリングによって遥かに師の作品を凌駕している。ここには、師から受け継いだ自然主義的な精神と、イタリアの自然と芸術が彼にもたらした溌剌たる生命感と古典的な造形感覚とが凝集されている。
このブロンズは、来歴資料によって、1861年のメッツの展覧会で栄誉賞を獲得した第二鋳造であると認められている。

(出典: 国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006. cat. no. 124)

写真:ジャン=バティスト・カルポー ナポリの漁師の少年